秋田の交通事故の裁判例解説

文責:弁護士 赤田光晴

最終更新日:2019年12月04日

平成22年9月9日秋田地方裁判所判決

【事案】

 加害者が,はみ出し通行禁止場所で追越しをする際に対向車と衝突し,対向車に乗っていた姉妹2人が死亡した。
 秋田地方裁判所は,加害者の運転態様,結果の重大性等を考慮し,相場(日弁連交通事故相談センターの損害賠償算定基準)以上の死亡慰謝料及び近親者慰謝料を認めた。

 

【裁判例解説】

 本件では,右側はみ出し通行禁止場所における高速度での追越しという極めて危険なものであること,加害者が追越しのための右側部分はみ出し通行禁止場所であることを熟知していたこと,加害者が日ごろからしばしば右側部分はみ出し通行禁止場所で追越しをしていたことなど悪質性が高く,また,21歳,19歳という若い2人が突然人生を絶たれるという重大な結果が生じたこと等を理由に相場以上の死亡慰謝料及び近親者慰謝料を認めたものと考えられる。
 また,加害者が遺族の下に謝罪に訪れたのが事故から9か月弱を経過した後であったことなどの事故後の加害者の態度が慰謝料の増額事由になるかについても争われたが,裁判所は,加害者も重傷を負い2か月強入院していたことや遺族から謝罪のための面会を拒絶された経緯があること等を理由に,認定額以上の増額は認めなかった。

 判決全文はこちら(裁判所ホームページ)
 

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